本日は京都大学医学部附属病院様への納品事例をご紹介いたします。
当該病院はその名の通り、京都大学医学部の附属医療機関として百年以上の歴史を誇り、 記憶に新しいところでは、2012年のノーベル生理学・医学賞を受賞した山中伸弥教授のIPS細胞研究所が病院敷地内にあります。
今回納品させて頂いたのは、IPS細胞研究所ではなく場所は同じ中病棟の放射線治療室です。
こちらの中病棟がここ2~3年で改築・再備されたようで、建物自体は完成されておりますが放射線治療部門もまだ立ち入り禁止で、運用はもう少し先の様です。
自動ドアを開けて進むと、専用の部屋があり中には放射線治療システムがありました。
(作業前の画像がなく弊社の製品取付中でご勘弁ください)
部屋に設置されていたのは
米国の放射線治療機器メーカーVarian(バリアン)社製のHalcyon
この機器を導入することで、IMRTや強度変調回転放射線治療(VMAT)などの高精度放射線治療を効率的に実施。運用効率が高く、圧迫感の少ないデザインで、患者さん及び医療従事者の負担も軽減できるようです。( Varianのがん放射線治療システムHalcyon 国内1号機 神奈川県大船中央病院にて治療開始 より)
弊社トキハ産業も病院・医療機関・研究施設に家具・インテイリア・什器を製造させて頂くことも多いのですが、実際放射線治療室に入らせて頂くことは殆どありません。
放射線治療メーカーは
・ベルギーのiba社
・日本の日立(2018年粒子線治療システムと三菱電機と統合)
・上記の米国のVarian社
の3社が世界的なリーディングカンパニーのようです。
我々の製品がこのVarian社の放射線治療機器にどう活用されるのかですが
機器開口部の表・裏の両側に、青い色のスチール製土台を設置。
床との接地面の白い素材は、グリップ力がありかつ、引きずっても床に傷がつかない素材を使用。
この土台に天板を載せ、固定します。
・・・・これで何をするんだろうというところですが、
この大きな水槽のような機器を先ほど設置した台の上に載せます!
この機器ですが
先程の放射線機器有力メーカー3社の1社
ベルギーのiba社製smartscanです。
このsmartscanは本当に中に液体を入れて使用します。
放射線の治療はVarian社halcyonのような診療用の高エネルギー放射線発生装置/ 治療計画装置を医療機関・研究施設内に設置してからすぐに開始できるものではありません。
安全で高精度な放射線治療を提供するため 、コミッショニングとよばれる放射線の線量を測定したり、測定したデータをモデリングする作業を行います。
実際の臨床使用を想定して、装置が持つ機能の動作及び精度を再確認し、装置の問題点・使用上の注意点を浮き彫りにし、不適切な臨床使用を防ぐためにとても重要な作業です。
装置導入時に全ての臨床使用を想定できればいいのですが、限界があるので、コミッショニングには終わりは無く、臨床開始した後も特殊な照射などの場合、適宜柔軟に対応してコミッションニングを実施する必要があります。
iba社のsmartscanはこのコミッショニングの行程・作業をより正確・効率的に行える危機になります。
ですので、今回納品させて頂いた製品は、上記2つの医療機器に比べれば部材の数や精密性は劣りますが、コミッショニング作業を精度高く実現するために
・強固/頑丈である
・膨張収縮が少ない
・移動性がある/軽い
という3つの点を追求いたしました。
実は弊社では今回の京大さんへの納品が2件目となり、1件目は近畿大学さんに納品させて頂きました。
トキハ産業は創設以来70年以上にわたり、木工家具の製造技術を柱に、オフィス事務用機器にはじまり、医療機関・研究施設の実験台から店舗用の什器まで幅広く市場のニーズにお応えしてまりました。
近年は、協力会社様のお力も借りながら、木工以外にも、樹脂・スチール幅広い素材を使い、新たな業界の方々とのお取引先様のご要望に応えております。
今回の京都大学付属病院様の案件では
僅かではありますが、日本のヘルスケア部門の最前線にこういった形で少しでも貢献できることが当社としては非常にうれしく思います。
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